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バッティングのヒッチを完全解剖!メリット・デメリットを学ぼう!

最終更新日:2020.05.07

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ヒッチに関する正しい知識を身につけよう

今回のスラッガー養成コラムでは、バッティングのヒッチというものについて考えていきたいと思います。このコラムを読み終えた頃には、ヒッチについての理解度がかなり高まっているはずです。ぜひこのスラッガー養成コラムを参考にして、ヒッチについての正しい知識を学んでみてください。

日本の野球指導現場では、多くの場面で「ヒッチはすべきではない」と指導されるケースが多いと思います。確かにヒッチしない方が良い選手もいるわけですが、「ヒッチ=悪」と考えてしまうのは指導者としては勉強不足ということになります。ちなみに hitch とは「グイッと上に引き上げる」という意味の英語になるわけですが、文字通りグリップを上に引き上げるモーションのことをヒッチ、正確にはハンドヒッチと言います。

ハンドヒッチ

ハンドヒッチ

グリップが上にグイッと引き上げられているのが写真からおわかりいただけると思います。これがハンドヒッチの動きになるわけですが、上半身に力強さを持っている選手、もしくはハンドヒッチを入れた方がタイミングが取りやすい選手は、ハンドヒッチしても問題はありません。

まずハンドヒッチのメリットは、バットを振り下ろすための勢いをアップさせられるという点です。メジャーリーグの筋骨隆々の選手たちは上半身と体幹に圧倒的な強さを持っていますので、ハンドヒッチをしてもそのあとでしっかりとバットを振っていくことができます。しかし上半身と体幹、特に体幹が弱かったり使いこなせていない選手の場合は、ハンドヒッチをしてしまうとバットの始動が遅れてしまい、ピッチャーのボールに差し込まれることが多くなります。

と書くと、パワーのない小学生はハンドヒッチすべきではないと思ってしまいがちですが、そんなことはありません。小学生でも体幹を上手く使いこなせる選手はいますので、重く感じない程度のバットであればハンドヒッチしても始動が遅れてしまうことはないと思います。ただし、ハンドヒッチが小学生にオススメかどうかと尋ねられたら、必ずしも必要な動作ではない、というのが僕の意見です。

ハンドヒッチのメリットを得るためには、とにかく体幹の力が必要になってきます。体幹の強さとは腹筋が6つに割れているかどうかではありません。腹筋が6つに割れていたとしても、軸の強烈な回転運動を支えることができなければ意味がありません。体幹の役割は軸を安定させることですので、腹筋が6つに割れていようがいまいが、軸を安定させられる範囲であればハンドヒッチすることでメリットを得られる、ということになります。

ちなみにメジャーリーガーの場合は、ハンドヒッチとドロッピングハンドを組み合わせることによってメリットを最大限まで高めている選手が多く見受けられます。

ドロッピングハンド

ドロッピングハンド

ドロッピングハンドというのは、上の写真のようにグリップを下に引き下げる動作のことです。つまりハンドヒッチとは逆の動き方になります。ドロッピングハンドというのは、ドロッピングハンドだけではメリットを生み出すことはできません。ドロッピングハンドだけで打とうとしてしまうと、当てるだけの力感のないバッティングになりやすいので要注意です。

ドロッピングハンドの役割は、ハンドヒッチのメリットを高めることにあります。ドロッピングハンドの動作を入れることによって、ハンドヒッチさせられる上下の幅を広げることができます。その結果、ただハンドヒッチだけをした時よりも、振り下ろす勢いをアップさせることができます。

ひと昔、ふた昔前にはドロッピングハンドだけをインストールしたフォームで打っているプロ野球選手が日本にも何人かいらっしゃいましたが、現代野球ではあまり見かけなくなりました。

ハンドヒッチのメリットを得るためには体幹を使いこなすことが重要

上述したように、ハンドヒッチでメリットを得るためには体幹の圧倒的な強さが必要になってきます。体幹を使いこなせていない選手の場合はハンドヒッチしたとしても、体幹によってバットの始動をコントロールすることができず、腕力に頼ったバッティングになってしまいます。このように手打ちになってしまうとバットのヘッドが必ず下がりますので、ジャストミートしたとしてもピッチャーのボールに力負けするようになります。

近年日本でもアーリーワークという言葉がよく使われるようになりましたが、このアーリーワークの本当の意味をご存知でしょうか?日本では早出練習のことをアーリーワークと呼ぶことも多いわけですが、メジャーリーグでは「全体練習の開始時間よりも早く球場に入り、2〜3時間体幹トレーニングをする」ことがアーリーワークと位置付けられています。

日本のプロ野球選手とメジャーリーガーを比較しても、日本人選手の体幹力はメジャーリーガーには遠く及びません。そういう意味ではやはり、日本人選手の場合は無理にハンドヒッチさせるよりは、しっかりとテイクバックをして打つことを意識した方が体格に合ったバッティングフォームを作りやすくなります。

テイクバック

テイクバック

上の写真がテイクバックの動作です。グリップをキャッチャー側に引き、頭とグリップの距離を広げることによってラギングバック効果(伸びたゴムが勢いよく縮んでいくような動き)を高められるのがテイクバックという基本動作です。一般的に体幹力が欧米人よりは弱い傾向にある日本人選手の場合は、体幹に頼るハンドヒッチよりは、割れによってスウィングスピードを高めていくテイクバックモーションの方がフィットするケースが大半です。

メジャーリーガーのように毎日2〜3時間体感トレーニングをしているレベルであれば、ハンドヒッチに挑戦する価値はあると思います。小学生であってもスウィングにほとんどブレがないレベルで体幹を使いこなせていれば、ハンドヒッチのメリットを得ることはできます。

ちなみに体感力を使ってハンドヒッチで打つ場合によく合うのがハードメイプルという、金属バットのような硬い打感の木製バットです。一方割れを最大限生み出すテイクバックを活かしたフォームで打つ場合は、青ダモというよくしなるバットが合います。ただ、青ダモのバットはかなり高価で、しかも技術がないとすぐに折れてしまうので要注意です。ですが木製バットのしなりを上手く使えるようになると、同じ選手が同じフォームで打った場合、実は金属バットよりも木製バットの方が飛距離が伸びるんです。

アマチュア選手の場合は金属バットを使うことがほとんどだと思います。金属バットはしなることはありませんが、しかし割れによってスウィングスピードをアップさせることはできますので、ハンドヒッチでもテイクバックでもどちらの技術をインストールしても、それが自分に合っているのであればOKです。

バッティングでヒッチさせるかどうかの分かれ道はココ

ハンドヒッチさせるかさせないかの分かれ道は、(1)体幹力があるかどうか、(2)ハンドヒッチした方がタイミングが取りやすい、という主にこの2つになると思います。仮に体幹力がそれほどなかったとしても、ハンドヒッチした方がタイミングを取りやすい場合は、バットの始動が遅れない程度であればハンドヒッチさせてしまっても良いと思います。

体幹力がない場合、ハンドヒッチさせることによって生じるデメリットも上述したようにありますので、そのデメリットが出ない範囲であれば、体幹力にこだわりすぎることなく、ハンドヒッチしても良いと思います。要はハンドヒッチすることによって打ちやすいか、打ちにくいかということですので、まずは難しいことは考えず、打ちやすいか打ちにくいかを感触として確かめてみるのが良いと思います。

その上でハンドヒッチさせた方が打ちやすければ、ハンドヒッチしたメリットを得られるような方向性で練習やトレーニングを続けていくのがお薦めです。せっかくハンドヒッチさせるのであれば、やはりメリットを得られるに越したことはありませんからね。

ということで今回はバッティングにおけるヒッチ(ハンドヒッチ)、ドロッピングハンド、テイクバックという関連性の高い3つの動作に焦点を当ててスラッガー養成コラムを書いてみました。最後までお読みいただいたことで、ヒッチに関してかなり理解を深めてもらえたと思いますが、いかがだったでしょうか?

 

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