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フォークボールの持ち方、必要な握力などを徹底解剖!

最終更新日:2020.04.10

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フォークボールを投げるにはどれくらいの握力が必要?

フォークボールには一体どれくらいの握力が必要だと思いますか?プロ野球選手の握力を見ていくと80kg以上ある選手が投手野手ともに多く、埼玉西武ライオンズの栗山巧選手などの握力は100kgを超えます。僕自身、肩を怪我する前の中学生時代は120km台のストレートをコンスタントに投げ、フォークボールを得意としていました。しかしその頃の握力は40kg台で、中学生とはいえ、硬式野球チームの中では握力は弱い方でした。

正直なところ、フォークボールを投げるためには「?kg以上の握力が必要です!」と言い切ることはできません。というのは単純に僕自身、40kg台の握力でもすっぽ抜けることなくフォークボールを投げられていたからです。僕は高校入学直前の春休み、練習生として高校の野球部の練習に参加していた際に肩関節胞を痛めるという、けっこう酷い野球肩によって野球ができなくなってしまいました。しかし怪我をするまでは120km台後半のストレートをコンスタントに投げ、練習では130km台を計測したこともありました。

フォークボールは握力がすべてではないけど、でも良いフォークボールを投げ続けるためには握力はしっかり鍛えておこう!

でも繰り返しますが僕の握力は40kg台だったわけです。だからと言って「握力なんて鍛える必要はない!」ということではありません。プロコーチになった今だからこそわかることではありますが、握力は鍛えておくに越したことはありません。中学生だったら50kg以上、高校生だったら60kg以上という握力をまずは目指していくことが現実的だと思います。握力が弱いとスタミナが消耗した時にボールを制御できなくなってしまうため、ボールを握るためのスタミナをつける、という意味で握力は鍛えておくべきです。

フォークボールの持ち方は文字通り指をフォーク状にする!

フォークボールの持ち方は文字通り指をフォーク状にする!

フォークボールの持ち方は文字通り指をフォーク状にする!

英語で fork は「二股に分かれたもの」という感じの意味になります。例えば分岐した川や道、音叉のような形のものを fork と言います。つまり上の写真のように、指を二股にしてその間にボールを挟むのがフォークボールの持ち方、というか握り方です。そして重要なのはどれだけボールの回転数を減らせるかということであり、強く握ることではありません。回転数を減らしてストレート同様に投げるからこそ、ストレートが突然落下していくようになります。つまりマグナス力を発生させない、ということですね。

中には指の関節があまり開かない選手もいるかもしれません。しかしそこは体のストレッチングと同じで、少しずつ訓練すれば少しずつ開くようになります。ちなみに僕は小学生の頃に第三野球部のあすなろ君を真似て、ボールをフォークボールの持ち方で握り、紐でグルグル巻きにして指が開きやすくなるようにしました。写真でおわかりいただけるかもしれませんが、僕の手は大きくはなく、女性より少しだけ大きいかな、という程度です。それでも指が開くように訓練したことで、フォークボールの握りで手を振っても、ボールを落とすことはありません。ただその訓練をしていた時は鉛筆を持てなかったため、残念ながら学校の宿題ははかどりませんでしたが。

フォークボールはとにかく手首を寝かせないことが最重要!

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フォークボールを投げる際にとにかく注意してほしいことは、上の写真のように手首をしっかりと立てておく、という点です。これは他の球種にも同じことが言えるのですが、特にフォークボールは腕を加速させる際に手首を曲げてしまうと、すっぽ抜けたり引っかかったりしやすくなります。つまりど真ん中からホームプレート上にストンと落ちる空振り率抜群のフォークボールではなく、バッターがまったく見向きもしないようなボール球になりやすいんです。

とはいえ、ただすっぽ抜けたり引っかかったりするだけならまだ良いんです。怖いのはワイルドピッチです。ランナーがいる場面でワイルドピッチをすれば、ランナーは労せずして次の塁に進むことができますし、ランナーが三塁にいたらワイルドピッチによってあっという間に1点入ってしまいます。フォークボールで失投が多い投手の特徴として挙げられるのが、手首が立っていないというケースなんです。

フォークボールを投げる際はとにかく手首を寝かせてはダメ!手首が寝てしまうと球威も落ち幅も甘い、ただの打ちやすい緩い球になる!

フォークボールを投げる際に手首が少しでも寝てしまうと、球威も低下しやすくなります。するとフォークボールの落ち幅も小さくなり、ストライクゾーンからストライクゾーンに落ちる、バッターとしては非常に打ちやすいただの緩い球になってしまいます。こうなっては空振りを取るどころか、長打にならないことを祈るばかりです。

フォークボールを投げる際はとにかく、下の写真のように手首が寝た状態では投げないでください。そして繰り返しますがこれは他の球種も同様です。プロ野球でも資質抜群のピッチャーがプロ入り後に、何年もトンネルから抜け出せずに結局戦力外通告をされてしまう、ということが多々ありますが、そういうピッチャーはやはり手首がしっかり立っていないことが多いんです。仮に高校や大学ではそれでも通用しても、プロではそれではダメなんです。

フォークボールは絶対に手首を寝せて投げちゃダメ! フォークボールは手首をしっかりと立てて投げよう!

フォークボールが落ちる原理とは?

フォークボールの原理というのは非常にシンプルです。投げるボールにバックスピンをかけないことにより、マグナス力という揚力を発生させず、空気抵抗と重力によってボールを落下させていきます。魔球にもなりうる球種ですが、しかし投げ方を間違ってしまうと肘を痛めやすいので注意が必要です。

フォークボールは肩関節の内外旋を浅くしやすいという特徴があります。肩関節の内外旋が浅くなってしまうと、トップポジションそのものも浅くなってしまい、手のひらがずっと正面を向いたままアクセラレーションフェイズ(トップポジションからボールリリースにかけての、ボールを加速させるための動作)を進むことになってしまいます。すると肘の内側にかかるストレスが大きくなり、内側側副靱帯を損傷しやすくなります。

ストレートが速いピッチャーはスプリッターを、ストレートが遅いピッチャーはフォークボールを選ぶのがベター!

フォークボールは投手にとってはまさに諸刃の剣です。魔球にもなりますが、怪我もしやすいんです。ですのでストレートが速い投手はフォークボールよりも、スプリッター(SFF)を選択した方が怪我予防という意味では良いかもしれません。ストレートが遅い場合はスプリッターは大きな武器にはなりませんが、速い場合はスプリッターもフォークボール同様大きな武器となり、しかも肘へのストレスもフォークボールよりは小さく抑えることができます。

球速が速ければ速いほど、フォークボールの肘への負荷は大きくなりますので、球速が遅い投手はフォークボール、速い投手はスプリッターという投げ分けをすると良いかもしれませんね。球速が遅ければ、フォークボールを多投しても肘にかかるストレスは最大限までは行きにくくなります。ぜひこの辺りも踏まえながら、フォークボールとスプリッターの選択をしてみてください。

フォークボールを待つバッターにフォークボールを投げる時はコレ!

さて、フォークボールを投げるヒントとしてもう1点。親指の位置やボールの握る場所をいろいろと変えてみてください。例えばボールの同じ場所を挟んでいたとしても、親指を置く場所を変えるとスライダーやシュート回転を加えられるようになり、カーブやシンカーのように曲がるフォークボールを投げることもできます。

経験値の高いピッチャーになると、リリースする前にバッターがフォークボールを待っていることに気付けることがあります。バッターのタイミングの取り方をよく観察しているとわかることがあるんです。もしフォークボールを待っているバッターにフォークボールを投げてしまったら、これはいくら良いフォークボールを投げてもバットが届けば打たれてしまいますし、仮に良いところに落ちたとしても見極められやすくなります。

もしリリースする直前に気付くことができた場合、そこから球種や握りを変えることはほとんど不可能です。しかし、だからと言って解決策がないわけではないんです。まったく同じフォークボールの握り方でも、人差し指と中指に入れる力の割合を変えるだけでも、カーブっぽくなったり、シンカーっぽくしたりできるんです。難易度としては最上級になるのですが、しかしリリースする前にバッターがフォークボールを待っていることに勘付けるレベルのピッチャーであれば、十分可能なテクニックだと思います。

フォークボールは投げ方を間違うと他の球種以上に肩肘を痛めやすい!

さて、フォークボールは人差し指と中指に力を入れすぎると連合反応により薬指と小指にも力が入りやすくなります。レベルがまだ高くないピッチャーはこの点を注意して練習をしてください。薬指と小指の筋は肘に繋がっているため、この2本の指が力んでしまうと肘がロックされ、野球肘を起こしやすくなります。フォークボールにどれだけの落差があっても怪我をしては意味がありませんので、肘を痛めないようにこのあたりのポイントにも注意しながら練習をしてみてください。

フォークボールは握力によってしっかりと挟む、というよりは、ガッツリ広げた指が戻りたがる反動の動きを利用してボールを持ちます。この感覚でボールを持てるようになると、フォークボールを投げる際に薬指と小指に力みが生じにくくなり、肘への負荷も軽減させられるようになります。ただしフォークボールは他の球種以上に肩肘への負荷は大きく、上述した通り、球速が速いピッチャーほど肩肘を痛めやすくなります。ですので球速が速いピッチャーがフォークボールを多投する際は要注意です。

フォークボールを投げる際は肩関節の内外旋がしにくくなります。すると肩肘の一部分だけが酷使されるようになり、野球肩になりやすく、肘に関しては内側、いわゆるトミー・ジョン手術がよく行われる内側側副靭帯を痛めやすくなります。怪我をしてからでは遅いので、フォークボールの練習をする際は、とにかく薬指と小指に力みが生じないように気をつけながら投げるようにしてください。

実は球速が遅いピッチャーほどフォークボールを負荷なく活かせることができる!

フォークボールはストレートが速いピッチャーの特権と思われることもありますが、そんなことはありません。例えばかつてオリックスなどで大活躍された星野伸之投手のストレートは120kmそこそこでしたが、変化球はドロップとフォークボールだけでした。しかしきれいなバックスピンにより、ストレートには球速以上の伸びがありました。そのため必要以上に速いボールを投げなくても、ストレート・ドロップ・フォークボールという3点セットだけでもプロで11年連続二桁勝利をマークし、通算176勝を挙げました。

つまりストレートは速ければ良いってもんじゃないんです。例えば球速が速くてもバックスピンの質がイマイチだとストレートに伸びは出ず、フォークボールを活かすこともできなくなるわけです。要するに良いフォークボールを投げるためには、質の良いストレートを投げられる技術が必要、というわけですね。

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